一般社団法人の社員総会の権限と特別決議が必要なとき

一般社団法人の設立にあたっては、定款をどのように作り込んでいくのかという問題で悩まれる方も多いのではないでしょうか。

その中で、社員総会の権限や特別決議については、ご質問をいただく機会の多い箇所になります。

このあたりは、ある程度の知識を持っていないと定款の作成が難しい箇所でもありますので、以下では要点を絞って、一般社団法人の社員総会の権限と特別決議について説明していきたいと思います。

一般社団法人の社員総会の権限

まず一般社団法人の社員総会ですが、これは原則、一般社団法人法に規定する事項や一般社団法人の組織、運営、管理その他の一般社団法人に関する一切の事項について決議することができる最高機関となっています。

「一切の事項」なので、原則的には社員総会が何でも決められる権限を持っているということになります。ただし、理事会を設置した一般社団法人では、この理事会の持つ権限が異なってくることについては既に「一般社団法人の社員総会の種類と権限」にてご説明したとおりです。

簡単に触れておくと、理事会を設置する一般社団法人においては、社員総会で決議できる事項は社員の除名や定款の変更など、一般社団法人に関する重大な事項についてのみに限定されるということになります。

なお、理事会を設置しない形態の一般社団法人であればほとんどの事項が社員総会の決議で決められることになりますが、一般社団法人は非営利型の法人であることから、剰余金を社員に分配するなどの決議は当然ですが行うことができません。

社員総会の特別決議を要する事項

次に、社員総会の特別決議が必要となるのはどのような事項なのか、見ていきましょう。

社員総会の決議は通常、定款に別段の定めがある場合を除いて「総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席した当該社員の議決権の過半数をもって行う」ことになっています。

その一方で、以下のように一般社団法人にとって重大な事項については「総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない」ことになっています。

  • 社員の除名
  • 監事の解任
  • 理事、監事または会計監査人の任務懈怠責任の一部免除
  • 定款の変更
  • 事業の全部譲渡
  • 解散(継続)
  • 吸収合併契約の承認、新設合併契約の承認

つまり、一般的なことは出席した当該社員の議決権の過半数で決め、重要なことは総社員の議決権の3分の2以上の多数決で決める、つまり重要な事柄は決めるための要件が厳しくなっていることになります。

※ちなみに、必要なのは「議決権の3分の2」であって「社員の3分の2」ではありませんので、その点はご注意ください。

一般社団法人設立時の定款作成における注意点

以上で触れた2つの点については、一般社団法人を設立する際に、実は定款で矛盾する規定を作ってしまいやすい箇所になります。そのため、多少注意しながら定款作成を進めるほうがよいでしょう。

たとえば、理事会を設置した一般社団法人でも前述のように社員の除名は社員総会の権限となりますから、これを理事会の決議で除名できるような定款を作ることはできません。

また同様に、特別決議が必要とされる事項について、一般決議でも可能なように要件を緩くしてしまう定款の規定も認められません(逆に要件を厳しくする規定なら認められる可能性がります)。

理事会を設置する場合には社員総会でなければ決議できない事項について、また理事会を設置するしないにかかわらず特別決議が必要な事項については、しっかりと確認しながら定款の内容を詰めていきましょう。

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