一般社団法人の主たる事務所を移転するとき

これから一般社団法人設立をお考えの方から、お打ち合わせの際、まずは仮に法人代表の住所を主たる事務所として一般社団法人の設立登記を行い、設立後にあらためて事務所を借りてそちらに移転を検討しているとのお話が出ることがあります。

一般社団法人の定款や登記には、主たる事務所の所在地(所在場所)を記載しなければなりませんが、もし設立後にすぐ事務所を移転するとなると、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

定款の変更が必要か否か

まず前提として、一般社団法人の定款には主たる事務所の所在地を記載しておく必要がありますが、この「主たる事務所の所在地」というのは最小行政区画(市区町村)まで定めておけば足りるということになっています。

最小行政区画内での移転

そのため、たとえば「主たる事務所を東京都豊島区に置く」と定款に定めることが可能です。このように最小行政区画までに留めて主たる事務所の規定を置いた一般社団法人が、その最小行政区画の中で主たる事務所を移転するケースでは、定款の変更手続きは不要ということになります。

つまり、前述のように「東京都豊島区」と定めた一般社団法人が東京都豊島区内で主たる事務所を移転するケースにおいては、定款変更の手続きは必要ありません(移転前も移転後も「東京都豊島区」内に主たる事務所があることで違いがないため)。

最小行政区画外への移転

次に、最小行政区画外へと一般社団法人を移転する場合ですが、こちらは定款変更の手続きを要することになります。同様に、もし定款の主たる事務所の所在地として最小行政区画より細かい記載をしている場合(たとえば「東京都豊島区何丁目何番何号 何々ビル何階」など)、定款の主たる事務所が異なる場所に移転することになりますから、こちらも定款変更の手続きを行わなければなりません。

定款変更の手続きは、原則、社員総会を開催して定款変更の特別決議を行い、理事会の決議によってより詳細な移転場所や移転の時期を決定することになります。

一般社団法人の主たる事務所移転の登記

以上のように、定款変更の決議を要するか否かは、定款の主たる事務所所在地の定め方、および主たる事務所の移転先によって異なることになりますが、定款変更の決議が必要な場合でも不要な場合でも、最終的には法務局へ事務所移転の登記を行うことになります。

主たる事務所を移転する登記は、理事会の決議した移転日から2週間以内に行うこととされています。そして、登記の手続きも状況によって2つのパターンに分かれます。

移転後の主たる事務所が同一の法務局管轄内であるとき

移転先の一般社団法人の主たる事務所が、移転前の主たる事務所と同じ法務局管轄内であるときは、その管轄内の法務局で手続きを進めれば移転登記を完了させることができます。

この際、登録免許税として1件につき30,000円を納めなければなりません。

移転後主たる事務所が別の法務局管轄内であるとき

移転先の一般社団法人の主たる事務所が、移転前の主たる事務所とは異なる法務局の管轄となるときは、移転前の法務局と移転先の法務局、いずれも移転登記の手続きを進める必要が生じます。(ただし、提出先は移転前の管轄法務局となります)

この場合、登記に関する登録免許税は移転前の法務局に30,000円、移転先の法務局に30,000円納めなければなrないため、コスト面では2倍かかることになります。

設立時に設立後の手続きの手間やコストを考慮する

以上のように、一般社団法人の主たる事務所を移転する手続きは、定款変更を要するか否か、法務局管轄が異なるか否かによって、手続きに要する手間やコストがかなり異なってきます。

定款の主たる事務所所在地を詳細に規定してしまったことで、余計な社員総会の決議が必要となってしまったり、すぐ側に移転するので手続き上の面倒は少ないと思っていたら、思いがけず法務局の管轄が異なることで余計なコストがかかってしまうこともあり得ます。

これから一般社団法人を設立する方は、設立自体を短期に行うメリットと、それによって生じる設立後のデメリット、両方を視野においてより利益の大きい手段を選択していきましょう。

もちろん、当事務所にご相談いただく場合には、そのあたりも含めてお打ち合わせをさせていただきます。設立後、短い期間で一般社団法人の主たる事務所の移転を検討中の方は、ご相談の際にお伝えください。

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