何らかの目的で集まっている団体や学会など、法人格を持たない任意団体(法律上の「権利能力なき社団」)を法人化するときは、一般社団法人という形態が利用されることが多いです。
実際、当事務所でも既に活動している団体の法人化については、よくご相談を頂戴します。
任意団体を法人化するメリット
ところで、団体を一般社団法人化するメリットには、どのようなものがあるでしょうか。
一番のメリットは、団体の財産・権利等を団体自身に帰属させることが可能になることです。任意団体においては、たとえば任意団体の活動費として集金したお金であっても、団体自体の銀行口座を作ることができず、代表者や会計係など個人の口座を便宜上利用して運用がなされることが一般的です。
また、団体として利用するサービス等の契約も、団体自体が権利・義務の帰属主体とはなれないことから、団体メンバーの誰かが便宜上個人名義で契約して、それを団体が利用せざるをえない事態も多いはずです。
特に、土地や建物など財産的に価値が高いものについては、任意団体としてどのように維持・管理していくか問題が生じてしまいがちです。
このような問題を抱える団体が一般社団法人を設立して法人格を得ると、法人(団体)として直接に契約や銀行口座開設が行えるようになることから、財産面の管理は非常にしやすいものとなります。
信頼性と継続性の向上
これを逆の方向から見てみると、これから団体と取引・契約しようとする人がいたとして、その団体がどのような財産を持っていて、どのくらいの規模で動いているのか、つまり団体としての信頼性はどれくらいあるのか、任意団体であるとなかなか把握することができません。
たとえば、団体としての銀行口座がなく個人名義の口座に預金があったとしても、その預金が本当に団体としての資金であるのか、通帳を見ただけで判断することはできませんし、そもそも団体の代表者や役員が登記されているわけではないので、誰と話を進めればよいのかさえ分からないこともあります。
任意団体を一般社団法人化すると、法人(団体)としての口座開設が容易になり、また法務局に行けば一般社団法人の現状を登記情報として確認することができます。そのため、取引・契約しようとする相手方にとっては、その団体の状況を把握しやすいことから、信頼性の向上に繋がりやすくなります。
また、任意団体の場合はどうしてもその時々の構成員の財産・契約等に左右されやすく、要になる人が団体から脱退してしまうと、団体事態の存続が危うくなってしまうことがあります。
任意団体を一般社団法人化すると、個人の財産・契約と一般社団法人の財産・契約が完全に切り離されることから、団体構成員の入れ替わりが生じたときでも、団体(一般社団法人)自体の存続が危うくなる機会というのは、大幅に減らすことができます。