会社法の施行によって、新たな会社の形態として設立することが可能になった合同会社。世間一般では、この合同会社の形式で会社を設立する人は増えているのでしょうか。
結論から言ってしまえば、株式会社ではなく合同会社を設立する件数や比率は、特にここ数年は年々増加傾向にあります。今では合同会社設立の件数は年間20,000件を超え、設立する会社の2割程度は株式会社ではなく合同会社を選択して設立されています。
有名企業も合同会社を立ち上げるようになった
この背景には、もちろん新しい会社法が施行されてから年月が経過して、それだけ合同会社という制度が世間に認知されてきたことが理由としてありますが、中でも、有名な企業が新たな事業を立ち上げたり事業を再編する際、合同会社を選択することが増えたことも大きいのではないでしょうか。
本来、設立する会社を株式会社にするか合同会社にするかは経営するための組織や会社の事業内容等に合わせて決めていくべきですが、「あの企業が合同会社を設立するなら」とか「あの企業も合同会社なら」という安心感から、「じゃあウチも合同会社でいいのかな」という結論に至ることも増えているようです。超有名企業ではAmazonが日本では合同会社の形態をとっています
有限責任で法人格があり、内部の決め事に柔軟性がある
なぜ株式会社ではなく合同会社を選択する企業が増えてきたのでしょうか。より実質的な理由としては、まず合同会社は株式会社と同様に会社の構成員である社員(従業員の意味ではありません)の責任が有限責任であり、同時に株式会社と同様に個人とは別の法人格がある会社形態であるにも関わらず、設立の手続きが簡易かつコストがかからない点が挙げられます。
取引先などから「法人じゃないとウチは取引できないよ」と言われ、個人事業から半ば仕方なく法人化するようなケースでは、できるだけ簡単な手続きで、できるだけコストをかけずに法人化したいものです。
そんなとき、社員の責任が有限責任であり設立コストや手間も比較的かからない合同会社というのは、選択肢ちして非常に有力なものになってきます。
また、合同会社は設立時の定款に定めることによって、内部の決まり事や利益の分配方法などが株式会社と比較して柔軟に対応することができます。小規模で法人を立ち上げるときは、大きな会社を前提とする株式会社よりも、小回りが利いて経営しやすい面があるのは確かです。
このような理由からも、昨今は合同会社に魅力を感じて「株式会社は作れないから」ではなく「合同会社だから作りたい」という起業家の方も増えています。