これから合同会社を設立する場合、手続きの過程で個人の実印ではなく会社の実印として使うハンコでの押印が必要になりますから、そのハンコを作ることになります。
合同会社の印鑑については、ちょっと悩まれる起業家様もいらっしゃるようですので、ここでは簡単にですが印鑑について触れたいと思います。
合同会社の実印
合同会社の実印は、合同会社を設立する手続きの過程で法務局へ印鑑登録をすることによって、設立後に実印として使えるようになります(つまり法人の印鑑カードを使って印鑑証明書を取れるようになります)。
会社と会社が何らかの契約をするとき、その書類に押印するのは通常、会社の実印です。そして、その押印が間違いなく実印であることを証明するために、印鑑証明書を取って添付することになります。
また、合同会社設立後に会社の定款を変えるとか、役員を変更するとか、本店を移転するなど変更手続きを取るときにも、役所に提出する書類には通常会社の実印を押すことになります。
合同会社の実印の印影
株式会社であれば、会社の実印には「〇〇株式会社 代表取締役印」などと彫ることが一般的ですが、合同会社には代表取締役がいません。そのため、合同会社の実印を作成するときは一般的に「〇〇合同会社 代表社員之印」などと彫ることになります。
細かなことですが、会社設立の手続き過程において、あまりに早く会社実印を作ることは得策ではありません。というのは、設立手続きの途中で「やっぱり別の会社名のほうが良さそう」と思い直したり、あるいは法務局で商号の調査を行ったところ「すぐ近くに似たような会社名の法人が既に存在する」とか「かなり有名な企業と似た会社名になってしまう」といったことに気づいて、変更を余儀なくされることもあるからです。
そのため、合同会社を設立する手続きにおいては、その会社名で間違いないという段階に至って、定款なども内容がほぼ確定した段階で、印鑑業者などに合同会社の実印を発注するのがスムーズです。
会社印鑑3本セットとは
ところで、合同会社の実印を作ろうとして印鑑業者の店舗やホームページを覗いてみると「会社設立3本セット」などのセット販売が大きく扱われていることに気づきます。
合同会社を作る際、必ず必要になるのは実印として使う印鑑1本のみです。ただし、合同会社設立後に金融機関で口座を作るとき、届出印は実印と分けたほうがより安心かもしれませんし、領収書やちょっとした資料に押印するときまで実印を使うのも紛失等の危険が増すでしょう。
そこで、合同会社を設立するにあたっては、実印の他に銀行印と角印の合計3本の印鑑をまとめて作ってしまう会社が大半です。そのため、印鑑業者はそれを見越して3本セットで印鑑を販売しているわけです。
材質や字体は好みで選んでOK
なお、会社の実印を作るとき、材質や字体は好みで選んでも問題ありません。ただし、実印登録できる印鑑のサイズについては決まりがあるので、その点だけ注意を要します。
柘など木製の印鑑であれば比較的安価に購入できるので、設立コストをできるだけ下げたいというときには木製の印鑑から選択するのもよいでしょう。また、材質がチタンなどであれば変形したり欠けたりする可能性が小さく、後日、印鑑証明書で表示される印影と実際の印影に齟齬が生じる危惧はほとんどないでしょう。
字体については、印鑑業者のウェブサイトによく「この字体を選択した人は〇〇%」などの情報が載っていますから、他の起業家さんによく選ばれているものから選んでもよいですし、逆に個性的な(他の人があまり使っていないような)字体から選択するのもよいでしょう。
銀行印と実印は兼ねることができる
上で少し触れましたが、合同会社の実印と合同会社の銀行印は、実印1本で兼ねることもできます。印鑑関係にできるだけコストをかけたくないというときは、銀行印を省いて実印1本にまとめてしまうのも1つの方法です。