株式会社設立の流れ


株式会社を設立して事業を始める(または既に営業をしている個人事業を会社化する)場合の手続きについて、以下で概要をご説明いたします。

設立手続きの代行をご希望の方は、本ページではなく株式会社の設立をご参照ください。

株式会社設立手続きの流れは前半が公証役場での定款認証、後半が法務局での設立登記手続き、そして設立した後に税務署等への設立届提出という3つの段階を経ることになりますので、それを意識して手続きを確認するとわかりやすいはずです。

株式会社を設立するまでの手続き

株式会社を設立するまで(登記事項証明書などが取得可能な状態に至り、営業を開始できる状態になるまで)には、以下のような設立手続きを進めていくことになります。なお、株式会社を設立するタイミング(会社員として勤務している時期に設立し、退職後に会社を経営する等)は、会社員として勤務中に会社を設立することは可能か?をご参照ください。

1.会社の基本事項を決める

まず具体的な手続きに入る前に、会社の基本事項を前もって決めておかなければなりません。

  • 会社の名称(商号)
  • 出資する人や出資額(資本金の額)
  • 役員となる人(1人だけでも株式会社は設立可能です)
  • 事業の目的
  • 事業年度
  • 本店所在地

会社の名称(商号)

会社の名称は、有名企業と同じものや既に近所で使われているものは、不動競争防止法で後日問題となったり、郵便物の誤配が生じるため使わないようにします。法務局には商号を検索できる端末が設置されていますので、ご不安の場合は、同一市区町村内に同一名称の会社がないか、一度確認しておくとよいでしょう。

出資の額(資本金)

出資の額(資本金の額)は、1円でも株式会社の設立自体は可能です。もっとも1円で設立してしまうと、株式会社の設立が完了した直後に債務超過となってしまいます。そのため、事業に必要な資金を予め計算し、それに近い金額に設定するほうが無難です。

事業の目的

事業の目的というのは、会社の根本規則である定款や、登記事項証明書などに記載される会社が取り扱う事業内容のことです。

もし会社を設立した後で行政庁の営業許可を受けなければならない場合、事業目的に特定の文言が入っていないと申請できないこともあるため、前もって確認しておかなければなりません(後日、必要になったら追加することもできますが、その都度費用がかかってしまいます)。

事業年度

事業年度は、何月何日から翌何月何日までと1年を設定することになります。もっとも多いのは、4月1日始まりの翌3月31日終了という事業年度ですが、設立日や事業の繁閑時期を考慮に入れ、適切な事業年度を設定してください。

事業年度は意外と決める際に迷いがちです。より詳しくは、法人の事業年度の決め方などをご参照ください。

本店所在地

はじめて株式会社を設立される場合、会社の本店所在地は代表取締役の自宅、またはレンタルオフィスや賃貸マンション・オフィスの1室になることもあるかと思います。会社の登記が禁止されている(商用利用が認められない)借家や集合住宅もありますから、念のため管理組合などに確認しておくと安心です。

2.株式会社としての実印を発注する

会社の名称を検討し、類似した名称などで後日問題が生じないと判断したら、次は印鑑業者に会社の実印として設立後に利用することになる印鑑を発注します。

材質や値段は様々ですが、設立書類への押印以外は契約を結ぶ際などにしか利用しないため、まずは安価に「柘(つげ)」など木の素材で作ってしまうのも手です(後日、どうしてもというときには登録した実印を入れ替えればよいため)。

3.株式会社の定款を作成する

会社の名称、事業目的、事業年度、設立時の出資者や役員等の条文を盛り込んで、株式会社の定款を作成します。作成した定款は公証役場で認証してもらわなければならないため、ほぼ出来上がった段階で一度、公証人の方に事前確認をしてもらうとスムーズです。

4.出資者や役員(となる人)の印鑑証明書を取得する

公証役場での認証手続きや、法務局での設立登記の手続きの際、出資者や役員となる人の印鑑証明書を使用します。このため、前もって印鑑証明書を役所から取得しておかなければなりません。何枚必要になるかは、誰がどの役割を担うかによって異なりますが、よくわからないときは1人につき3枚取得しておけば、大抵の場合は足りるはずです。

5.公証役場での定款認証手続き

株式会社の場合、設立時に作成した定款は公証役場の公証人から認証してもらわなければなりません。この際、手数料として5万円程度かかります。

認証してもらう公証役場は、本店所在地や代表取締役住所の近くにある公証役場が便利ですが、予め電話で認証が可能な公証役場であるか確認しておきましょう(本店所在地と公証役場の所在地の関係で、認証できない公証役場も生じるため)。

公証役場に行く際に準備しておくもの

公証役場との事前の電話等で持参するものの案内などはあるかと思いますが、通常、以下のようなものを準備して行くことになります。

  • 定款
  • 発起人の印鑑証明書
  • 定款用の収入印紙
  • 認証の公証人手数料(52,000円程度)
  • 発起人の実印
  • 発起人の本人確認書類(運転免許証原本等)

6.資本金払込と設立書類の作成

ここから先の手続きは、法務局での株式会社設立登記のための手続きとなります。従って、予め法務局で相談して書類等を揃えていくとスムーズです。

まず、設立する株式会社の資本金がしっかり準備されているかを確認するため、資本金の払込証明書という書類を作成します。この書類に使うのは、現在では金融機関の通帳コピーがもっとも簡便です。

資本金とする額を(まだ会社自体の口座が作れないため)便宜上、代表取締役個人の口座へ振り込んで、その振り込んだ口座の通帳コピー(表裏表紙、表紙を1枚めくった支店名などの記載されているページ、そして振込が確認できるページの計3枚)を利用することになります。

その他に、役員への就任承諾書や会社実印を登録するための印鑑届書、本店の所在場所を決めた書面等、必要書類を作成していきます。

法務局への設立登記

設立に必要な書類がすべて揃ったら、法務局で株式会社設立の登記を申請します。登記を申請した日が会社設立日(後日、登記事項証明書を取得した際に必ず載る事項)となりますので、大安や記念日を選択したいときは、すべての書類を揃えた後、それに合わせて日程を調整することになります。

登記の申請が受理されたら、その後は法務局側の審査期間となります。通常は1週間程度で登記事項証明書が取得できるようになります。

設立登記に必要な書類

主な必要書類は以下のとおりですが、より正確には申請予定の法務局へご確認ください。

  • 登記申請書
  • 取締役等の就任承諾書
  • 取締役等の印鑑証明書
  • 出資の払込を証する書面(払込証明書)
  • 印鑑届書
  • 印鑑カード交付申請書

株式会社を設立した後の手続き

以上の手続きが全て完了し、株式会社の登記事項証明書と印鑑証明書が取得可能な状態に至ったら、次は税務署等への設立の届け出や銀行口座の開設に進みます。

税務署への届出と銀行口座の開設は、後者で前者の書類控えなどを求められることがあるため、税務署を先に進めます。

税務署への届出

税務署へは、主に以下のような書類を届け出ることになります。

  • 法人設立届出書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  • 青色申告の承認申請書

法人の設立届出書だけで済ませてしまうと、後日、とてももったいないことになってしまうかもしれません。詳しくは法人を設立したら税務署へ届け出ておくべき4つの書類をご参照の上、必要と思われる書類をよく確認して届け出るようにしてください。

税務署は基本的に、「この書類も一緒に出しておいたほうが良いですよ」というアドバイスまではもらえないことのほうが多いため、予め自分で最低限の知識を得て行動することが求められます(この段階で税理士と相談して今後の税務・会計の方針を検討するとともに、税務署への届出書類を代行してもらうのがオススメです)。

株式会社としての口座を開設する

税務署への届出が完了したら、次は事業を始めるために必須ともいえる、株式会社の銀行口座開設です。こちらの詳細は法人設立後の銀行口座開設に譲りますが、いくつかのコツを知らないで口座を開設しようとすると、意外と難儀することも多いので要注意です。

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