法人の事業年度は、1年以下の期間であれば任意に決めることができますが、どのように決めたら良いのでしょうか?
ここでは、決算日の4つの決め方を紹介していきます。
経営者様がどのポイントを重視するかで事業年度(決算日)も決まってきます。これを読んで、迷いなく決めていただくことができれば幸いです。
- 最も一般的な決算日の決め方
- 繁忙期で決算日を決める
- 昇給月で決算日を決める
- 税制改正の適用時期に合わせて決算日を決める
最も一般的な決算日の決め方
最もよく採用されるのは、法人の設立日から考えて、第1期目ができるだけ長くなるようにする方法です。
そして、決算日はいずれかの月の月末にします。法律的には、決算日は必ずしも月末でなくてもいいのですが、月末以外にすると締め日などの関係で決算がやりにくくなるため、月末にします。
たとえば、法人の設立日が5月22日だった場合、決算日は4月30日にします。この場合、第1期目は5月22日~4月30日で11ヶ月+10日の期間になり、1年以下の期間という要件を満たします。第2期目からは、毎年5月1日~4月30日の1年間が1事業年度となります。
この決め方のメリットは次のような点にあります。
- 決算というものを少し面倒なものと考えた場合、それがなるべく遅く来るようにできる。
- 第1期目がほぼ1年間あるので、第2期目や第3期目など他の事業年度との決算数値の比較がしやすくなる。
- 第1期目をできるだけ長くすることで、消費税の免税事業者でいられる期間を最長にできる。
繁忙期で決算日を決める
季節変動がある業種では、繁忙期に決算が来るのを避けるため、比較的忙しくない月に決算日を設定する方法も考えられます。
例えば、3月に売上も利益も多く計上される会社が3月決算にすると、その事業年度の利益の額が把握できるのは4月以降になってしまいますので、それからでは利益を打ち消すような節税対策で取り得る方法は大幅に限定されてしまいます。
また、決算月の翌月や翌々月には、決算作業のために、税理士にいろいろと資料を提出しなければなりませんし、打合せもあります。それが繁忙期にあたってしまうとキツそうであれば、それを避けるように決算日を決めるのもいいでしょう。
昇給月で決算日を決める
毎年決まった月に昇給させる法人では、昇給月も考慮に入れる必要があるかもしれません。
法人税法では、役員報酬の額は事業年度が始まってから3ヶ月以内に決定し、それから期末まで一定額でないと役員報酬が損金の額に算入されない、という規定があります。
つまり、役員報酬の額を従業員と同じ時期に変動させたいのなら、昇給月が事業年度最初の3ヶ月に入っている必要があるのです。
税制改正の適用時期に合わせて決算日を決める
この方法は、税理士と良く相談して決めていただく必要があるのですが、納税者にとって増税になるような税制改正があった場合の裏ワザです。
税制改正があった場合、それが法人にいつから適用されるのかは、「○○年○月○日以後開始事業年度から適用」というように定められる場合が多いです。増税になるような税制改正だったら、それが適用される時期をなるべく遅くしたいので、その「○○年○月○日」の前の月を決算日に設定すれば、その次の事業年度もまだ税制改正の適用を受けないことになります。