株式会社の機関は?一人で設立するメリットやデメリット


株式会社をこれから設立しようとする場合、会社の機関設計で悩まれるケースはあまりないかもしれません。

というのも、「自分の会社を興したい」と考えていらっしゃる多くの起業家の方は、自分一人が株主兼代表取締役となるもっともシンプルなかたちでの株式会社の機関設計をとることがほとんどだからです。

株主総会+代表取締役(取締役1名)

株式会社はその形態上、所有と経営が分離しています。そのため、最低限の機関設計をとる場合には、会社の実質的な所有者である株主で構成する「株主総会」と、実際に会社を経営していく「取締役」を設置することになります。

とはいえ、会社の株主は取締役(代表取締役)を兼ねることがほとんどで、しかも株主も取締役も1人だけというケースが多いことから、この構成で株式会社を作る場合には実際のところ「会社の機関」を意識しないで設立手続きや設立後の経営を進めることになります。

「オレ、会社作ったよ」という場合の株式会社の多くは、「株主(1人)で構成される株主総会と、同じ1人が就任する取締役」という形態となります。

機動力重視の会社

機関設計が「株主総会+代表取締役(取締役1名)」のパターンは、所有者と経営者が一体化していて、しかもその権限が1人に集中していることから、とにかく会社の機動力が高いことがメリットになります。

何か決定するにも取締役会を開催して決議をとる必要がありませんし、株主総会の開催手続きも非常に簡易に済ませることが可能です。

個人事業では取引先に対する信用面で弱いとか、契約を締結するためには法人である必要があるなどの理由から株式会社を設立するケースでは、個人事業の機動力を保ったままで法人として活動が可能な「株主総会+代表取締役(取締役1名)」の機関構成にメリットがあります。

第三者に対する信用面での弱さ

一方で、「1人だけの株式会社」は「ワンマン経営」に陥りやすく、また会社の規模も比較的小規模であることが多いため、第三者に対する信用という面で「株主総会+代表取締役(取締役1名)」の機関設計はデメリットがあります。

ただ、このデメリットについては株式会社を設立して以降に取締役会や監査役を設置する機関構成に変更が可能ですので、必要となった場合にあらためて検討してみるのでもよいのではないでしょうか。

※以前は株式会社を作るためには「株主総会+取締役3名(取締役会の設置)+監査役」の機関設計が必須でしたが、現在は必要なくなっているため、迅速に設立して機動力を重視した1人会社を設立するメリットのほうが勝る場合が大半です。

株主総会+取締役会(取締役3名以上)+監査役

既に会社を経営している人が、新たな事業を立ち上げる場合、最初からそれなりの人数を役員として設置して経営をスタートするケースも多いです。また、複数人がタッグを組んで何らかの事業を始めるという場合もありますが、そういった状況で選択される機会があるのが「株主総会+取締役会(取締役3名以上)+監査役」という株式会社の機関構成です。

この機関設計をとる場合、メリットとデメリットは概ね「株主総会+代表取締役(取締役1名)」の機関設計をとる場合と表裏になります。

取締役会を設置すると、会社の経営で重要な決定は取締役会の決議を経なければならなくなりますので、意志決定を迅速に行ってスピードを重視した経営という面は多少弱くならざるをえません。また、取締役会を設置する場合には監査役(または会計参与)の設置が求められますから、報酬面でのコストも加算されることになります。

ほかには、株主総会を開催するための手続きがより煩雑になるなどの手間もかかります。

一方で、取締役会の設置された会社というのは第三者にとっては「それなりにしっかりした会社」のイメージを抱かせますから、会社の規模が多少大きくなってきて、これから更に事業を拡大していこうというタイミングでは、取締役会設置会社へ変更する舵取りをとるメリットも大きなものになります。

これから株式会社を設立しようとする段階で、取締役会まで設置するケースはあまり多くはありませんが、メリット・デメリットを比較して、必要であれば最初から取締役会設置会社として設立手続きを進めることも検討するほうがよいでしょう。

※もし人的・物的なコストや税制面で株式会社の機関設計に悩まれたときは、専門家に相談して意見を参考にするのも一つの手だと思います。

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